【東工大数学の対策】必要な勉強、参考書、講習を考える
こんにちは!ラッシーです。今回は、東工大の数学についてお話ししたいと思います。
東工大数学の概要
まず東工大の数学について少し見ていきましょう。
試験時間は3時間、主要な大学において最も長い受験時間です。
基本的に例年大問5つの出題ですので大問一つあたりの時間も最長です。
そして配点は300点、他の科目の二倍ですね。
他大学と比較してみても数学をいかに重要視しているかが分かります。
出題範囲は?
出題範囲は数学ⅠA,ⅡB,Ⅲ、つまり高校数学の範囲全てです。
主要な分野ごとに見ていくと、まず、整数やそれに関する数列問題はほぼ毎年出ています。
確率については2,3年に一回、平面図形についても同様です。
また、整数同様、空間図形や微積はほぼ毎年、年によっては微積は複数題出ます。もっとも、空間図形では微積を扱う問題が多いので、そこも考慮はしています。
複素数平面はあまり出ません。直近では2020年に出たのでしばらくは出ないでしょう。
難易度は?
整数や確率の問題にはあまり高難度の問題は出ません。手の出る問題が多いです。一方で空間や微積は問題把握から難しい問題や計算が煩雑または特殊な操作・置換が必要な問題がやや出題されるため、空間や微積が東工大を受験界の最難関数学の一角たらしめている要因です。この範囲は赤本などで難易度C以上にランク付けされる問題がポンポンと出題されますね。
対策に向けて
まず、微積の範囲ですが、微分法や積分の置換は完全にマスターしておきましょう。特に積分計算において、微分形の接触や部分分数分解、半角公式による次数下げ等忘れていたり詰まったりしがちな部分は漏れなくカバーしておかねばなりません。
また、空間の求積問題において、いわゆる予選・決勝法は頻出です。問題を部分部分に分けて考えていく思考が身についていないと、解く方針が全く出てこないまま試験終了、ということになりかねません。
他にも、整数や積分のはさみうち等不等式の扱い、証明は慣れておく必要があります。
以下は時間で追っていく形で対策を描いていきます。
対策第一段階:土台作り
まず、基礎固めができていないと話になりません。分かりやすいのは積分による求積です。簡単な問題にせよ難しい問題にせよ、概形の把握→切って固定した平面における切り口の面積の立式→固定していた平面を動かし体積を積分計算で求める、という流れは変わりません。それぞれの段階攻略や、この流れを自然に行えるようになることは簡単な問題でしっかり脳に残しておかないといざ難しい問題に当たったとき手が動かなくなります。ですから早めに練習を始めましょう。
理想としては高2の夏が終わって新学期に入る前に、青チャートやFocus Goldといった汎用問題集を何周もしておき、どの分野も一定にできる(センター、共テのレベルで7,8割)ように仕上げ、そこから秋を使って少し質の高い問題集を極めることです。ここでは黒チャートや一対一対応などです。一対一対応は一冊一冊が薄いのでモチベーションを保ちやすく、また問題が作りこまれていて、一題で学べることが多いのでおすすめです。
大事なことは、よく言われていますが、あまり多くの参考書に手を出さないことです。一つの時期に似たような参考書を何冊も使うのは労力の分散、練度の低下になります。また、逃げ癖もつきます。土台を固めるのにこの時期はこれだ!と一回決めたら変えないようにしましょう。
対策第二段階:講習
土台固めが終わると、難しい問題でも、どういう問題だったのか、何をすればよかったのか、そういった解けなくなるポイントが一度聞いたりさらっと解説を読んだだけで何となく把握できるようになります。
そうしたらだんだんと応用に入っていけるようになります。時期としては高2の冬ですね。冬期講習などがありますので、有名な予備校の名物講師の授業などを聞きながら難問へのアプローチの仕方を学び取っていきましょう。大体予備校ごとに講師の評価・人柄を大きくまとめたサイトがあるのでそういったサイトで下調べをしましょう。以下のサイトは駿台の情報サイト”お茶飲みwiki”と駿台の講習案内ページ、河合塾のTOPです。
お茶飲みwikiはこちら
駿台講習会TOPはこっち
河合塾TOPはここ
順調に土台固めが進んでいれば秋にある駿台や河合の模試で数学はある程度の点数がとれるはずです。予備校によって、名物講師の授業を受けるには一定の学力を要求されますが、多くは模試の成績で受講資格をもらえます。一般に成績認定と呼ばれる制度ですね。予備校の専用の学力審査を無視できるのでおすすめです。成績が足りなくても、良い授業が受けれる塾・予備校はありますので、結果が振るわなくても慌てる必要はありません。
駿台の成績認定案内はこちら
河合塾の認定はこれです
講習前の予習は綿密に行っていきましょう。予習をしないなどもってのほかです。1,2週間前から始めておきましょう。駿台を先ほど出したので駿台を例に以後進めますが、最難関レベルSαに位置する講座の教材はそのほとんどの問題を難関大の入試問題からとってきています。舐めてかかると何の話をしているかわからないまま授業が終わります。予習は計画的に進め、もちろん復習も欠かさないようにしましょう。
駿台だと、雲幸一郎師、小林隆章師などはSαの講習を多く受け持っており、独自講座を開いているほどの講師です。雲師は月刊大学への数学の常連執筆者でもあり、受験業界では1,2を争うほど有名です。是非一度受けてみてはいかがでしょうか。
私個人の話としましては、冬期は雲師のSα数Ⅲをとっていました。認定は秋の高2駿台全国模試でとっていました。雲師の分かりやすい説明と問題の本質を突いた評価は新鮮で頭に入りやすかったですね。
講習で気に入った講師がいれば、その後通期で授業を受けてもいいでしょう。東工大レベルの数学力をつけるには、冬からは演習に入りたいところです。最難関大の受験数学問題集は正直漏れや不足がどうしても目立ちます。博打を打つくらいならば素直に大手予備校が研鑽を重ねたテキストを丁寧に講師の手で記述してもらったほうがいいでしょう。
ただでさえ範囲の広い数学で難しい問題で効率的に思考能力を鍛えるのは、そのために作りこまれたテキストと良い解説でなければ難しいです。また、東工大志望である以上、高2冬は物理化学の基礎などを総仕上げしたい時期でもあります。家庭の学習時間をそちらに割くためにも取捨選択が迫られる頃合いです。
またまた私の話ですが、高2の3学期から通期のSα数Ⅲをとっていました。冬期と同様雲師ですね。すっかり彼の魅力に取りつかれてしまいました(笑)。
高3以降の数学学習
(1)4月~12月
冬同様に春期講習などの時期が終われば、受験学年です。基本この後は浪人生とバチバチ殺りあう事になります。過去問は予備校やごく稀に頼りになる学校もあるようなので一応学校の勉強で演習不足または苦手分野の補強で東工大数学〇ヵ年のような分野別の過去問を使いましょう。要はこの本のことです。見たことは一度は誰しもあるでしょう。
他にも過去問を探したい場合はこちらの教学社さんのページへどうぞ。
ここでやっておきたい分野としてはやはり微積や図形、整数ですね。必出なのでどうしても演習量が得手不得手によらず欲しいところです。
普通の赤本(教学社出版の過去問)や青本(駿台出版の過去問)は時間を計って試験時間中の解き進め方の練習に使うものです。春夏であまり手を出すものではありません。直前期に使いたいのでここでやってしまうと解いたことのある問題になってしまってタイムマネジメントと練習ができなくなります。
また、引き続き思考力を鍛えていくために、良問を漁りたいですが、これも一番手っ取り早いのは予備校に丸投げすることです。駿台の話をすると、通期では高3から東大理系数学やSα数学などで東京一工や早慶などから思考を鍛える良問のみを扱います。この二講座の違いは担当の先生が変わるだけでそこまで差異がないので、先生の好みで選びましょう。
私は通期では雲(幸)師の東大理系数学ⅠAⅡBと弟の雲(孝)師のSα数Ⅲをとっていました。二次試験で私は200点だったのですが、実力の部分は正直ここでの演習のおかげだと思っています。解き方は後述します。
夏期講習以降もやることは変わりません。自宅での演習補強や予備校の予復習といった演習で思考力を磨き、また東工大の問題やそのレベルに慣れていきましょう。大事なのはペースを崩さず淡々と磨いていくことです。気が急いて、何かやらないと!と下手に問題集や別講座を探すのは、慣らしてきた思考を乱すことになるので危険です。
冬期講習は共通テストが近いですが、わざわざその対策講座をとるのはもったいないです。これまで同様、発展的な良講座を情報サイトで調べて受けたり、自分の好きな講師の講座をとったりしましょう。
私は夏期講習では入試数学の盲点,化学特講Ⅰ、冬期講習では入試数学の定石,東工大物理をとっていました。時間の都合上雲師の独自講座がとれなかったのが受験期の心残りですが、小林師の夏の盲点は特にためになるので受けたほうがいいです。一次変換や写像、円錐や円柱の立式等、逃せば学ぶ機会のなさそうな内容が盛りだくさんです。
(2)共通テスト前後
一月に入ると共通テストが頭にちらついてきます。二次試験と大きく違うので乱されてしまいますが、現役生の場合、共通テスト利用などで理科大がとれると精神面で大きくアドバンテージが得られます。諦めてセンター過去問や共通テストの予想問題、過去問を数回やって自分なりの回答順序や時間配分を研究しておきましょう。センターなので少し毛色が違いますが、収録数が多い黒本(河合出版)がおすすめです。
共通テストが終わったら乱された分の調子を戻すために、まずは共テで使わなかった数Ⅲの復習をはじめとして、”戻す”ための復習をしましょう。1,2週間ほど使ってしまって大丈夫です。一対一対応などの問題集で直していきましょう。駿台の雲(孝)師がこの辺りはこの時期にnoteというサイトでどう過ごすべきかを書いてくれます。覚えていたら見てみるといいでしょう。
(3)直前期
1月末から2月にかけては滑り止めの私立のタイムマネジメント練習以外は東工大二次試験練習です。赤本や青本といったいわゆる”過去問”で時間の使い方を練習したり、予備校ごとの東工大直前演習系の講座で予想問題を解くなど、東工大の試験の時間の使い方を体に叩き込んでいきます。
箸休めでこれまでの良問たちの復習などもして、思考力・対策ともに限界まで高めていきます。
これで時期ごとの対策は終わりです。
東工大数学の解き方
東工大数学の試験時間は長いですが、それでも足りません。何時間考えてもわからない問題も出ますから、早めに切り上げる勇気がいります。といっても当日いきなり簡単に切れるものではありません。そこで提案するのは試験問題を周回することです。
まず試験問題をすべて把握するために各大問15分ずつ手を付けます。ここで重要なのは解くわけではない、ということです。整数や数列問題などではまず手を動かしてn=1,2,3について計算しておく、微積や図形ならグラフや絵を描いておく、定義域を確認しておく、そういった”解くための準備”に15分を使います。
次に2週目です。1週目の準備でどの問題が手が出やすいか、書き進みそうか、大体わかっているはずです。そうしてできそうな大問から進めていきます。解けそうな問題に15~20分ほどまた費やし、進まなそうなものは飛ばします。
これを繰り返して2,3問ほど完答し、残りの問題は準備とそこからの少しの進展で半完や部分点をかっさらい、180~を取る、というのが作戦です。
この作戦のいいところはできそうでできない難問を飛ばせるところです。十分にほかの問題に時間が割けるので、一つの問題に集中して他の問題を解く時間が無くなった、といった事態を未然に防ぐことができます。
詳しくは先ほど同様、雲(孝)師がほとんど同じ戦法をより細かくnoteで解説してくれると思います。昨年のものは消されているようなので、上げなおされるのを待ちましょう。
最後に...
数学は短期間で伸びるものではありません。地道な基礎固めと長い演習を通じてようやく受験当日に花開くものです。思うように模試で伸びなくとも、諦めずに焦らずに積み上げていきましょう。
私の東工大実戦の数学は偏差値49、東大実戦の数学は偏差値50, 52です。思うように成績が出なくても、失点した部分や時間の使い方等、冷静に学び取っていきましょう。
今回はネタ抜きで、高2くらいの人が参考にしやすい記事になりました。というのは、やはり数学という科目はすぐに芽が出ないからです。高3で基礎固めが終わってない場合は正直厳しいと思います。そういう方は今回の記事を参考に、他の人の2倍頑張りましょう。
あと、ネタがないと言っておいて早速ですが、一番最初の画像、明らかに自明な等式ですね。雰囲気だけ賢そうで何も進展していません。でも、数学において計算していくうちに元に戻ってしまう、ということは多々ありますね。もしかしたら戻ってくる過程を暗算してしまった残念な天才なのかもしれません。はい、本当に余計な余談でした。
雲幸一郎師の発言にこんなものがあります。
「寝る間も惜しんで予習復習をする、駿台にお金貢いだってしょうがないですからね。」
時間もご両親または自分が出すお金も有限です。最大限の努力を捧げて数学しっかり力をつけて現役で受かってほしいと思います。
皆さんのご入学お待ちしております。
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